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松江地方裁判所 昭和51年(わ)100号 判決 1977年3月17日

本店所在地

島根県益田市あけぼの本町二番地六

株式会社みやこ編物

(右代表者代表取締役斉藤義雄)

本籍

島根県益田市乙吉町イ七八二番地

住居

同県同市あけぼの本町二番地六

会社役員

斎藤義雄

大正七年一〇月四日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官松尾司出席のうえ審理をして次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社みやこ編物を罰金八〇〇万円に、

被告人斎藤義雄を懲役六月にそれぞれ処する。

被告人斎藤義雄に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社みやこ編物は、益田市あけぼの本町二番地六に本店を置き、ニット婦人服製造販売などを営業目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人斎藤義雄は、右被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人斎藤義雄は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、期末の棚卸商品および売上げを除外するなどの不正な方法によりその所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四七年八月一日から昭和四八年七月三一日までの事業年度における右被告人会社の実際の所得金額が一億一、八八〇万七、八六〇円であるのにかかわらず、昭和四八年九月二八日、益田市元町一二番一一号所在の所轄益田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七、二二四万一、一六五円であり、これに対する法人税額は二、五六八万六、九〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、被告人会社の右事業年度の正規の法人税額四、二七六万三、〇〇〇円と右申告税額との差額一、七〇七万六、一〇〇円を免れ(別紙1、3)

第二  昭和四八年八月一日から昭和四九年七月三一日までの事業年度における右被告人会社の実際の所得金額が一億七、三二〇万二、二二〇円であるのにかかわらず、昭和四九年九月三〇日、前記益田税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億一、八一八万〇、九六一円であり、これに対する法人税額は四、五九四万五、三〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告人会社の右事業年度の正規の法人税額六、七九五万一、二〇〇円と右申告税額との差額二、二〇〇万五、九〇〇円を免れ(別紙2、4)

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書七通および検察官に対する供述調書三通

一、登記官山根力作成の商業登記簿謄本

一、水津美智子、西本之子、岡田陽子、藤本法慎の各上申書

一、大蔵事務官杉ノ原剛(一七通)、同松浦道男(三通)、同杉本孝二(四通)、同柏信憲二の各調査事績報告書

一、熊野茂三作成の証明書

一、中村栄文(二通)、平田園子(二通)、福原茂人、福原里子、小池義治、大庭昭一、住田忠、安岡豊、水津美智子(六通)、斎藤暢夫(五通)、岡田陽子(四通)、斎藤都世子(一〇通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、岡田陽子(三通)、斎藤都世子の検察官に対する各供述調書

一、益田税務署長作成の修正確定申告書二通

一、押収されている法人税決議書一綴、総勘定元帳二冊、売上帳一冊、仕訳伝票二綴、納品書二五冊、収支報告書綴一綴、収支報告書一冊、日記帳一冊、証ひよう書類綴一綴、一般材料製品帳一冊、分室外注費明細一綴、集計表一綴、毛糸帳一冊、編物明細書一綴、仕入帳三冊、売上帳三綴、在庫表一綴、税金申告書関係綴一綴、棚卸表三綴、売上値引伝票綴一綴、在庫帳一冊、買掛帳一綴(昭和五一年押第四四号の1ないし31)

(法令の適用)

一、被告人株式会社みやこ編物につき

判示所為 法人税法一五九条一項、一六四条一項

併合加重 刑法四五条前段、四八条二項

二、被告人斎藤義雄につき

判示所為 法人税法一五九条一項(懲役刑選択)

併合加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条

(犯情の重い第二の罪の刑に加重)

執行猶予 同法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 芥川具正)

別紙 1

修正損益計算書

自 昭和47年8月1日

至 昭和48年7月31日

別紙 2

修正損益計算書

自 昭和48年8月1日

至 昭和49年7月31日

別紙 3

別紙 4

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